高等教育ニュース(2026年7月27日ー7月28日)
2026年7月28日(火)
収集範囲:原則 2026年7月27日 8:00 ~ 7月28日 8:00(日本時間)
Ⅰ 国内の高等教育ニュース
政策・財政、研究基盤、教育改革、入試、統計
- 第5期の国立大学法人運営費交付金―中間まとめ(案)を審議
公表:2026年7月27日 | 大学政策・財政 | 注目度:最重要
概要 文部科学省は、第5期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会(第4回)を開催し、中間まとめ(案)とその概要などの会議資料を公表した。
要点 国立大学の教育研究を支える基盤的経費の安定性を確保しつつ、各法人のミッションや成果、政策課題への対応を配分へどう反映するかが中心論点となる。
実務への示唆 国立大学は、教育研究コスト、施設・情報基盤更新、博士人材支援等を中期財務計画とKPIで説明できるよう整理する必要がある。私立大学にとっても、公的資金配分の「成果の可視化」強化は補助金・認証評価対応の先行指標となる。
- 文科大臣が東京農工大学・一橋大学を視察―安定的研究費と文理融合改革を確認
更新:2026年7月27日 | 大学改革・研究政策 | 注目度:重要
概要 文部科学大臣は東京農工大学と一橋大学を視察。東京農工大学ではイノベーション創出や中長期的に安定した研究費、大学間・研究者交流について意見交換し、一橋大学ではソーシャル・データサイエンス学部の教育研究を確認した。
要点 研究力強化には継続的な基盤投資が必要であること、また人文・社会科学とデータサイエンスを結ぶ学部改革が政策上重視されていることが示された。
実務への示唆 設置申請・改組では「文理融合」を科目名の追加にとどめず、教員組織、研究テーマ、PBL、データ活用環境まで一体で示すことが重要である。
- AI for Scienceを支える研究データ基盤―SINET・NII RDCを中核に整備方針
報道:2026年7月27日 | 研究DX・AI | 注目度:重要
概要 文部科学省の検討会報告を受け、SINETとNII Research Data Cloudを中核に、ネットワーク、研究データ、計算資源・認証を一体化する研究データ基盤の方向性が示された。
要点 次期SINETやクラウド基盤の活用を見据え、大学・研究機関のデータ共有、計算資源への接続、認証・セキュリティを全国規模で強化する構想である。
実務への示唆 各大学は、研究データ管理計画、機関リポジトリ、認証基盤、情報セキュリティ、研究倫理を別々の業務として扱わず、研究DXの統合ガバナンスとして再設計する必要がある。
出典:先端教育機構(文科省報告を紹介)(2026年7月27日)
- 香川大学、2027年度入学者から授業料20%引上げ案
報道:2026年7月26日(補足) | 大学経営・学納金 | 注目度:最重要
概要 香川大学は、昼間学部の授業料を年額53万5,800円から64万2,960円へ引き上げる案を公表した。対象は2027年度以降の学部入学者で、在学生には現行額を適用する。
要点 引上げ幅は年10万7,160円(20%)。教育研究環境整備等に総額12.3億円を充てる計画を示す一方、経済的支援制度も新設・拡充する。意見募集は8月21日までで、最終決定は8月下旬の予定。
実務への示唆 学納金改定では、使途の数値化、在学生への経過措置、給付・減免策、学生・保護者との対話を一つのパッケージとして示すことが、受容性と説明責任の鍵となる。
- お茶の水女子大学も授業料20%引上げ案―教育投資と学生支援を併記
報道:2026年7月23日(補足) | 大学経営・学納金 | 注目度:重要
概要 お茶の水女子大学は、2027年度の学部入学者と2028年度の大学院博士前期課程等の入学者を対象に、授業料を年額53万5,800円から64万2,960円へ引き上げる案を公表した。
要点 在学生には現行額を適用し、博士後期課程は対象外。完成年度には年間約2.7億円の増収を見込み、教育環境・学生支援の充実に活用する。意見募集は9月15日まで、最終決定は10月予定。
実務への示唆 複数の国立大学で同水準の改定案が続くことから、「標準額の範囲内での値上げ」が個別大学の問題ではなく、国立大学財政の構造的論点になっている。
- 近畿大学、情報学部の総合型選抜で生成AIの活用を明示的に許可
公表:2026年7月25日(7月27日報道) | 入試・生成AI | 注目度:重要
概要 近畿大学情報学部は、2027年度総合型選抜で、自己PR動画の制作やプレゼンテーション準備に生成AIを利用できることを募集要項等で明示する。
要点 AIの使用方法や学びそのものも自己PRの対象になり得る一方、評価では受験生本人の思考力・独創性を重視し、AIを使わない受験生が不利にならないよう運用する。
実務への示唆 大学入試では「AI使用の禁止/許可」だけでなく、申告方法、本人性確認、評価基準、著作権・個人情報、利用しない受験生への公平性まで制度化する必要がある。
出典:大学プレスセンター(2026年7月25日(7月27日報道))
- 令和8年度学校基本調査―大学等向け手引・調査票様式を公表
更新:2026年7月27日 | 統計・調査実務 | 注目度:実務
概要 文部科学省は、令和8年度学校基本調査のページを更新し、大学・短期大学・高等専門学校等に関する調査の手引と様式を掲載した。
要点 大学等の調査は4月20日から実施されており、学校数、学生数、教職員数、卒業後の状況など、高等教育政策の基礎データを形成する。
実務への示唆 設置申請、情報公表、認証評価、学校基本調査で定義や基準日が食い違わないよう、学生・教員・入学者・卒業者データの共通マスターと照合手順を整備することが望ましい。
注目論考:日本のAI教育・研究の国際的位置
| PRESIDENT Onlineは、QSの「Data Science & AI」分野ランキング(2025年版)を材料に、日本の大学の国際競争力を論じた。ランキングそのものは本年公表の新データではないが、AI人材育成・研究投資・海外人材獲得を一体で検討する必要性を示す論点として参考になる。 |
Ⅱ 海外の高等教育ニュース
ランキング、学費制度、短期職業教育、サイバーセキュリティ、留学生政策
- THE世界大学ランキング2027、参加大学が2,297校へ拡大
公表:2026年7月27日 | ランキング・国際競争 | 注目度:重要
概要 Times Higher Educationは、2027年版世界大学ランキングへの参加大学が2,297校、118か国・地域に達したと発表した。前年の2,191校から約4%増加した。
要点 参加校数は米国168校、インド143校、トルコ124校、日本112校、英国110校。個別順位の表示範囲を300位まで広げ、順位帯も細分化する。ランキング公表は2026年9月30日の予定。
実務への示唆 ランキング対応は順位対策ではなく、研究データの品質管理、英語発信、教員・学生の国際性、研究影響の継続的な把握をIR業務として定着させることが重要である。
出典:Times Higher Education(2026年7月27日)
- 豪州の大学授業料制度、専攻別負担から所得連動・定額制への再設計案
公表:2026年7月27日 | 学費・公的負担 | 注目度:参考
概要 豪州の現行制度「Job-ready Graduates」に代わる授業料設計として、卒業後所得に応じた区分制と、専攻を問わない定額制の二つの研究提案が示された。
要点 所得・生涯賃金に連動した区分制は政府支出を年間最大2億豪ドル削減できるとの試算があり、別研究は年1万847豪ドルの定額制が公平性を高めると主張する。
実務への示唆 専攻分野ごとに学費を変える政策は、進路誘導効果、公平性、複雑性、卒業後所得の予測誤差を伴う。日本でも授業料・修学支援制度を検討する際、教育コストと支払能力を分けて論じる必要がある。
出典:Times Higher Education(2026年7月27日)
- 米国「Workforce Pell」開始―8~14週の短期職業教育にも給付型支援
公表:2026年7月27日 | 学生支援・リスキリング | 注目度:重要
概要 米国では7月1日から、従来のPell Grantを短期職業教育プログラムへ拡張するWorkforce Pellが施行された。現時点では認定プログラムが限定的だが、少なくとも20州が認定手続きを整備している。
要点 対象は概ね8~14週、150~599時間のプログラムで、修了率・就職率、授業料と修了後所得等の基準を満たす必要がある。2034年には年間約10万人の利用が見込まれる。
実務への示唆 短期プログラムへの公的支援には、学修成果、就職実績、費用対効果、質保証を結び付ける仕組みが不可欠である。日本のマイクロクレデンシャルや履修証明プログラムにも共通する論点である。
出典:Inside Higher Ed(2026年7月27日)
- 英国大学関係の流出アカウント14万件超―個人端末がサイバーリスクの盲点
公表:2026年7月28日(本日速報) | 情報セキュリティ | 注目度:重要
概要 英国の教育・研究ネットワーク機関Jiscは、2026年6月までの12か月間に、英国の教育・研究機関に関連する14万4,000件超のユーザー名・パスワードの組合せがダークウェブ上で確認されたと報告した。
要点 大学管理外の個人端末で認証情報を保存することが、情報窃取型マルウェアの侵入口になっている。流出資格情報はフィッシング、アカウント乗っ取り、ランサムウェア攻撃につながり得る。
実務への示唆 多要素認証、パスワード管理、端末健全性確認、特権ID管理に加え、教職員・学生の私物端末利用を前提にしたゼロトラスト型の認証・監視を整備する必要がある。
出典:Times Higher Education(2026年7月28日(本日速報))
- 英国大学、MResの留学生募集を抑制―在留資格審査の強化が影響
公表:2026年7月28日(本日速報) | 留学生・コンプライアンス | 注目度:参考
概要 英国では、内務省による学生ビザ制度の監視強化を受け、一部大学が留学生向けMRes(研究修士)への出願受付を停止・縮小している。
要点 海外からのMRes学生は2024-25年度に大幅増加した一方、大学にはビザ拒否率等の厳格な基準遵守が求められ、募集拡大がスポンサー資格リスクに直結する。
実務への示唆 留学生募集は定員確保策だけでなく、入学審査、学修目的の確認、在籍管理、修了見通し、ビザ・代理店管理を含む全学的なコンプライアンス業務として設計する必要がある。
出典:Times Higher Education(2026年7月28日(本日速報))