高等教育ニュース(2026年7月26日ー7月27日)
2026年7月27日(月)版
対象期間:2026年7月26日 8:00 ~ 7月27日 8:00(日本時間)
■ 国内高等教育ニュース
○ 1.設置認可・届出・法令・通知・審議会
・該当記事なし 対象時間内に、文部科学省の大学設置・届出、法令・通知、審議会資料等の新規公表は確認できませんでした。文部科学省の新着情報は7月24日公表分が直近です。
○ 2.入試・学生募集・修学支援
・九州看護福祉大学、2027年度の総合型選抜・学校推薦型選抜募集要項を公開
九州看護福祉大学は、2027(令和9)年度入試のうち、総合型選抜と学校推薦型選抜(公募推薦)の学生募集要項を公開した。選抜区分ごとの出願資格、日程、選考方法、提出書類を早期に提示し、受験生の準備を促す。
実務上の注目点:募集要項の公開時期と大学案内・入試サイト・出願システムの記載を統一し、評価方法、配点、専願・併願条件、入学前教育まで一貫して説明することが重要である。
出所:九州看護福祉大学(2026年7月26日)|原文を確認
・高崎商科大学、入学辞退時の学納金返金制度を見直し
高崎商科大学は、2027年度の一般選抜、大学入学共通テスト利用選抜、総合型選抜(併願制)で、入学辞退時に事務手数料5万円を差し引いた納入金を返金する制度へ改める。年明け入試の志願者は10年前の約7倍となる1,325人に増加しており、修学支援新制度の予約採用候補者には入学金・前期授業料の納付猶予も導入する。
実務上の注目点:学生募集競争が強まる中、入学手続金の返還・猶予は受験生の選択行動に直結する。募集要項、学則、学納金規程、返還手続、専願区分との整合を事前に確認する必要がある。
出所:大学ジャーナルオンライン(2026年7月26日)|原文を確認
・札幌国際大学、函館・青森で出張型個別相談「マチキャン」を実施へ
札幌国際大学は、遠方でオープンキャンパスに参加しにくい受験生を対象に、教職員が地域へ出向く完全予約制の個別相談会を8月22日に函館、23日に青森で開催すると公表した。学科、入試、学生生活、学費、奨学金を個別に説明する。
実務上の注目点:人口減少地域からの学生募集では、キャンパス来訪を前提としない相談機会の設計が有効である。出願地域、参加者属性、相談後の行動を追跡し、費用対効果を検証する仕組みが必要となる。
出所:札幌国際大学(2026年7月26日)|原文を確認
○ 3.教育改革・授業実践・国際教育
・名城大学、人間学部の教員・学生が大学間プロジェクト「犯罪予防と社会安全演習」に参加
名城大学は、人間学部の教員・学生が、大学の枠を越えて犯罪予防と社会安全を学ぶ演習型プロジェクトに参加したと公表した。専門知識だけでなく、現実の社会課題を複数大学の学生・教員が共同で検討する学修機会となる。
実務上の注目点:大学間PBLは、単位認定、担当教員の責任範囲、成果物の評価基準、事故・個人情報対応を協定や実施要領で明確にすると、継続可能な教育プログラムになる。
出所:名城大学(2026年7月26日)|原文を確認
・武庫川女子大学、デンマークの教育を学ぶ講演・ワークショップを実施
武庫川女子大学教育学部は、デンマークの教育をテーマとする講演・ワークショップの開催を公表した。海外の教育制度や実践を、講義だけでなく対話・体験型の学びとして取り入れる取組である。
実務上の注目点:海外教育事例を扱う際は、制度紹介にとどめず、日本の教育現場への適用可能性を比較・検討させ、授業目標と評価課題を結びつけることが学修成果の可視化につながる。
出所:武庫川女子大学 教育学部(2026年7月26日)|原文を確認
○ 4.研究成果・産学共同研究
・仮名と漢字の書字障害に関わる脳内ネットワークの違いを大規模解析
横浜市立大学の研究グループは、脳卒中後失語症315例を分析し、仮名と漢字の書字障害には異なる神経ネットワークの損傷が関与することを明らかにした。日本語特有の表記体系を踏まえたリハビリテーション評価や介入法の精緻化が期待される。
実務上の注目点:研究成果広報では、原著論文、研究対象、方法、限界、社会的意義を対応させることで、単なる成果紹介ではなく大学の研究力・教育力を示す情報となる。
出所:大学ジャーナルオンライン(2026年7月26日)|原文を確認
・北海道科学大学、歌手・野口五郎氏と「深層振動」の共同研究
北海道科学大学は、情報科学部の研究者と歌手・音楽家の野口五郎氏が、人の耳に聞こえない微細な低周波音である「深層振動(DMV)」の共同研究を開始したと報じられた。音響・情報技術と健康・感覚領域を横断する研究展開が注目される。
実務上の注目点:著名人・企業との共同研究は広報効果が高い一方、研究目的、知財、成果公表、利益相反、研究倫理の責任分担を契約で明確にする必要がある。
出所:大学ジャーナルオンライン(2026年7月26日)|原文を確認
○ 5.大学経営・IR・地域共創・スタートアップ
・岡山大学と愛媛大学、瀬戸内のスタートアップ・エコシステム形成で連携協定
岡山大学と愛媛大学は、アントレプレナーシップ人材育成とスタートアップ創出を推進する連携協定を締結した。内閣府の「NEXTグローバル拠点都市」に選定された瀬戸内スタートアップコンソーシアムを基盤に、自治体、大学、企業、金融機関等を結ぶ広域的な共創を進める。
実務上の注目点:大学間協定を実効化するには、共同科目、起業支援、知財・投資、施設利用、成果指標を具体化し、協定締結後の実施組織と予算を明示することが重要である。
出所:岡山大学/PR TIMES(2026年7月26日 19:37)|原文を確認
・岡山大学の地域DXプラットフォーム、企業向けAIエージェント実践セミナーを開催
おかやまデジタルイノベーション創出プラットフォーム(OI-Start)は、AIエージェントによる業務改革をテーマとするセミナーを開催し、会員企業、大学生、一般参加者など約130人が参加した。開発・運用事例、業務への組込み方、教育工学・情報科学の視点を共有した。
実務上の注目点:大学が地域DXの中核を担う場合、単発セミナーから、企業課題の収集、共同研究、リスキリング、学生PBL、成果評価へ接続する導線が必要となる。
出所:岡山大学/PR TIMES(2026年7月26日 18:33)|原文を確認
・岡山大学、宮崎大学の事例から新時代のPBLと大学起点の地域づくりを共有
岡山大学研究協力会の理事会・総会併催イベントで、宮崎大学の事例を踏まえたPBLと大学起点の地域づくりに関する特別講演、大学と産業界の共創活動が紹介された。企業と大学の交流を教育・研究・地域課題解決へ展開する取組である。
実務上の注目点:地域共創型PBLでは、地域側の課題提供だけでなく、学修目標、教員の指導、成果の利用、学生負担、継続性を設計し、正課教育としての質を担保する必要がある。
出所:岡山大学/PR TIMES(2026年7月26日 22:10)|原文を確認
・岡山大学と三重大学、IR活用とJ-PEAKS人事制度を意見交換
両大学は、IRの活用方法、研究IR体制、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)で進める人事制度等を協議した。岡山大学は、IRにより執行部の意思決定と説明が容易になったこと、既存の分析業務を担う職員をユニット化して高度化したことを紹介した。
実務上の注目点:IRはデータ収集部門ではなく、意思決定支援機能として位置付ける必要がある。執行部の課題設定、分析担当者の権限、データ定義、会議体への報告経路を制度化することが鍵となる。
出所:岡山大学/PR TIMES(2026年7月26日 21:33)|原文を確認
○ 6.質保証・認証評価・設置計画履行状況
・該当記事なし 対象時間内に、認証評価機関による評価結果、大学団体による質保証指針、設置計画履行状況に関する新規公表は確認できませんでした。
○ 7.全国紙・主要オンライン媒体
・全国紙4紙、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、PRESIDENT Online、東洋経済オンライン、Between、Yahoo!ニュース等を検索しましたが、対象時間内に本文・公表日・固有URLを確認でき、上記一次情報と重複しない高等教育記事は確認できませんでした。
■ 海外高等教育ニュース
○ 1.政策・規制・学生保護
・UAE、高等教育機関の認可・プログラム認証を取消し、在学生の転学を支援
UAE高等教育・科学研究省は、重大かつ反復的な規制違反を理由に、Horizon University Collegeの機関認可とプログラム認証を取り消した。授業、募集、学位授与、成績証明書発行を停止し、影響を受ける学生が認可機関へ円滑に転学できるよう関係機関と調整するとした。
実務上の注目点:認可取消し等の重大事案では、規制執行だけでなく、在学生の単位・学籍・証明書・学費・転学先を保護する移行計画が不可欠である。日本の募集停止・廃止計画にも通じる論点である。
注記:公表ページは7月26日付ですが、本文の発信地・日付は7月6日と記載されています。
出所:Emirates News Agency(WAM)(2026年7月26日)|原文を確認
○ 2.博士課程・学生支援
・オックスフォード大学博士課程学生、生活上の紛争で研究時間を失い修了資金を募集
医療研究分野の博士課程学生が、誤請求された約1,000ポンドのエネルギー料金をめぐる法的対応に多大な時間を費やし、研究期間が延長されたため、修了までの生活費をクラウドファンディングで募っている。裁判では学生側が勝訴し、補償が認められた。
実務上の注目点:博士課程支援は授業料・奨学金だけでなく、生活上の紛争、緊急支援、研究中断、在籍延長を含むリスク管理が必要である。相談窓口と経済支援制度の接続が重要となる。
出所:Times Higher Education(2026年7月26日)|原文を確認
○ 3.研究政策・社会実装
・HEPI、研究成果を政策へつなぐには継続的な関係構築が必要と提言
英国Higher Education Policy Instituteは、優れた研究を公表するだけでは政策に自動的に反映されないと指摘した。研究者と政策担当者が、信頼、時間、制度的支援、継続的な対話を通じて、課題設定から共同で関わる仕組みが必要だと論じている。
実務上の注目点:地域連携協議会や産学官プラットフォームでも、成果報告会だけでなく、定例協議、共同調査、政策形成への参画を制度化することで、大学の知を実装しやすくなる。
出所:Higher Education Policy Institute(2026年7月26日)|原文を確認
○ 4.教育・研究・サステナビリティ
・シンガポール国立大学、マングローブ研究と次世代育成を一体化
NUSの地理学者は、「roots to reefs」の考え方に基づき、河川、マングローブ、海草、サンゴ礁を連続した生態系として研究・教育している。学生は現地調査、植樹、ドローン・3Dマッピング等に参加し、科学、地域社会、政策を結ぶ保全活動を学ぶ。
実務上の注目点:研究プロジェクトを授業・フィールドワーク・地域協働へ組み込むことで、教育成果と社会的インパクトを同時に示せる。安全管理、データ利用、現地パートナーとの役割分担も必要である。
出所:National University of Singapore(2026年7月26日 09:15(シンガポール時間))|原文を確認
○ 5.質保証・FD
・AIUB、理工系教員を対象に成果基盤型教育(OBE)のFD研修を実施
American International University-Bangladeshは、Faculty of Science and Technologyの教員を対象とするOutcome-Based Education(OBE)のFD研修実施を公表した。教育目標、学修成果、授業・評価を対応させる質保証の取組として注目される。
実務上の注目点:OBEを機能させるには、科目レベルの到達目標と学位プログラムのDPを対応させ、評価データを組織的に収集・改善へ戻す仕組みが必要である。
出所:American International University-Bangladesh(2026年7月26日)|原文を確認
■ 大学設置・経営実務への示唆
・1.入学手続金の返還・猶予は「募集施策」だけでなく規程整合の問題
入学辞退時の返金や納付猶予を導入する場合、募集要項の説明だけでは不十分である。学則、学納金規程、入学手続要領、会計処理、専願・併願区分、修学支援新制度との関係を一体的に整備する必要がある。
・2.地域共創プラットフォームは「協議体+教育+研究+事業化」で設計する
岡山大学の事例は、大学間協定、自治体・企業・金融機関とのネットワーク、起業人材育成、DX支援、PBLを相互に接続している。設置申請で地域共創を掲げる場合も、協議会名簿だけでなく、教育課程、実施体制、役割分担、成果指標まで示すことが説得力を高める。
・3.IRは「データ集計」から「意思決定支援」へ位置付ける
IR組織の設置自体ではなく、誰が経営課題を設定し、どのデータを分析し、どの会議体で意思決定に使うかが重要である。設置後の内部質保証でも、DP達成度、学生募集、退学、就職、財務等のデータを改善につなげる経路が問われる。
・4.PBLは連携実績ではなく「正課教育としての質」を示す
地域課題型・大学間PBLでは、課題提供者の存在だけでなく、授業目標、単位、担当教員、学生指導、評価ルーブリック、成果物の帰属、安全管理を明確にする必要がある。継続的に実施できる予算・運営組織も重要である。
・5.学生保護計画は募集停止・組織廃止の中心資料
海外の認可取消し事例が示すように、教育組織の停止・廃止では、在学生の修学継続、単位認定、証明書発行、教員配置、施設利用、転学支援を具体的に示す必要がある。日本の設置者変更、募集停止、廃止認可・届出でも同様の視点が重要となる。